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赤ちゃんにテレビが与える影響とは【科学的根拠から考える】

テレビを見ている子どもの画像 幼児教育

[st-cmemo fontawesome=”fa-user” iconcolor=”#f386ab” bgcolor=”#fef6f8″ color=”#000000″ iconsize=”150″]『赤ちゃんにテレビを見せるとどんな影響があるの。赤ちゃんにテレビを見せて悪影響があるか知りたい?』[/st-cmemo]
こんな疑問に答えます。

結論から言うと、2歳までの赤ちゃんがテレビや動画を見ることによるメリットはありません。

ただし、2歳以降の子供なら「セサミストリート」などの教育番組から学ぶことが出来ることがわかっています。ですが、2歳以下の赤ちゃんに「セサミストリート」を見せると悪い影響があることもわかっています。

赤ちゃんにテレビが与える影響1:言語発達が遅れる

本を読む女の子の画像

テレビは赤ちゃんの言語発達に影響します。テレビをたくさん見る赤ちゃんは、そうでない赤ちゃんと比べて語彙数が少なくなります。

赤ちゃんの言語発達に関する研究結果

ワシントン大学で行われた赤ちゃんの語彙の数を調べた実験です。ワシントン州とミネソタ州の100世帯を対象に、各世帯ごとに赤ちゃんが見ている番組の視聴時間と赤ちゃんの知っている語彙の数を調べました。すると、赤ちゃん用のDVDを見る時間が長い赤ちゃんほど、知っている語彙の数が少ないことがわかりました。

そのほかにもタイで行われた研究では、1歳までにテレビを2時間以上見ていた子供は、言語の発達が遅れる可能性が6倍も高いという結果もでています。

親の言葉とテレビから聞く言葉の影響

赤ちゃんにはたくさんの言葉を聞かせた方がいい、と聞いたことのある人もいるでしょう。実際に、3歳までに聞いた単語数が多い子供ほど言語数などの認知スキルが高くなることがわかっています。

では、テレビからたくさんの言葉を聞いているにも関わらず、言語の発達が遅れるのはなぜでしょうか?

その理由は、赤ちゃんがテレビから学ぶことができないからです。

赤ちゃんにテレビが与える影響2:テレビからは学ばない

泣きそうになっている女の子の画像

テレビをたくさん見せても赤ちゃんの言語には影響しません。なぜなら、赤ちゃんはテレビから学ぶことができないからです。

育児に熱心な親は、赤ちゃん用の教育番組やDVD教材などで早くから学ばせたいと思うかもしれませんね。しかし、残念ながら2歳までの赤ちゃんはテレビや動画からうまく学ぶことができないことがわかっています。

赤ちゃんにマンダリンを聞かせる実験

生後9ヶ月の赤ちゃんにマンダリン(中国の公用語)を聞かせた実験です。パトリシア・クール教授が行ったお母さんから直接学ぶのとDVDの映像から学ぶことを比較しました。

赤ちゃんの半分はお母さんから直接マンダリンを聞き、残りの半分はDVDに録画された映像からマンダリンを聞ききます。その結果、お母さんから直接マンダリンを聞いた赤ちゃんは、マンダリンの音を聞き分けることができましたが、DVDに録画された映像からマンダリンを聞かされた赤ちゃんは学んでいませんでした。また、DVDに録画された映像からマンダリンを聞いた赤ちゃんと、マンダリンを聞いていなかった赤ちゃんとの差もありませんでした。

赤ちゃんにネズミの人形から手袋を外す場面を見せる実験

ジョージタウン大学の研究でも同様な実験が行われています。1歳〜2歳の子どもにネズミの人形から手袋を外す場面を見せる実験を行いました。

大人が実際に人形から手袋を外す場面を見せた赤ちゃんのグループとDVDで人形から手袋を外す場面を見せた赤ちゃんグループを比較します。その結果、大人が実際に見せたグループは上手に同じ行動を真似することができましたが、DVDを見せたグループはうまく行動を真似することができませんでした。

赤ちゃんにたくさんテレビを見せても言語には影響しないのです。

赤ちゃんにテレビが与える影響3:健康にも影響がある

スマホを覗き込む赤ちゃんの画像

テレビは赤ちゃんの健康にも影響を及ぼすことがわかっています。

肥満になりやすい

テレビなどのメディアを多く見る子どもは、BMI(肥満度を表す値)が高いことがわかっています。

また、テレビを見ながらの食事なども肥満に影響すると言われています。

睡眠時間が減る

寝室でテレビを使用することで、子どもの睡眠時間が減ることがわかっています。

睡眠前のテレビの使用も睡眠を妨げる要因になります。これはブルーライトによる刺激のために起こります。そのため、睡眠の1時間前からはテレビなど電子機器の使用を控えたほうが良いです。

発達にも影響する

テレビを使用することで親子の会話、ふれあいなどが減り、子どもの認知スキルや言語、社会性などに影響する可能性があります。

他にも暴力的なコンテンツは子どもに悪影響を及ぼすこともわかっています。逆に教育的なコンテンツは良い影響があります。また、暴力的なコンテンツから教育的なコンテンツに変更すると子どもの行動が改善されたという研究結果もあります。

赤ちゃんにテレビが与える影響まとめ

笑顔の親子の画像

研究結果からわかる通り、赤ちゃんはテレビからうまく学ぶことができません。

テレビは赤ちゃんにとっての時間泥棒

先ほどの研究結果から、DVDの映像を見たグループと何もしていなかったグループに差が見られなかったならマイナスの影響はない、と考える人もいるかもしれません。

ここでの問題点は、テレビが赤ちゃんに悪影響を与えるのではなく、テレビを見ることで奪われる時間が赤ちゃんに悪影響を与えるという点です。

仮に1時間テレビを見せた場合、赤ちゃんにとってその1時間は何もしなかったのと同じということです。絵本を読んでもらったり、おもちゃで遊んだりして学ぶ時間が奪われてしまったことを意味します。要するに、赤ちゃんにとってテレビは時間泥棒になってしまうのです。

赤ちゃんにとってテレビは悪影響

赤ちゃんにテレビや動画を見せることに悪影響はあってもメリットはありません。

フランスでは赤ちゃん向けの番組を禁止しています。

アリゾナ州保健局では2歳以下の児童を扱うクラスでは、テレビを撤去することが必須としています。テレビを無くすことで、保育士はよく児童に話しかけるようになり、保育士と子どもとのやりとりが増えたそうです。

幼児教育などでテレビを活用するのは2歳以降にしたほうがよさそうです。ですが、2歳以降でも見せる番組や動画には注意が必要です。3歳までに暴力シーンのあるテレビ番組を見ていた子供は、5〜8歳までにADHD(注意欠陥・多動性障害)になる割合が2倍になるという研究結果もあります。

ま家事などで手が離せない時は、おもちゃで遊ばせたり、ビデオチャットなどで祖父母などに相手してもらったりしたほうが、テレビを見せるよりも赤ちゃんにとっては好ましいといえます。テレビチャットなどはテレビと違い双方向のやりとりができるので、テレビのような悪影響はありません。

アメリカ小児科学会(AAP)では子供が5歳になるまでのテレビを使う時のルールを定めています。赤ちゃんにテレビはいつから見せていいの?【アメリカ小児科学会のルールとは】にまとめてあるのでを参考にしてみてください。
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